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組織内会計士の日常

組織内会計士の日常を綴っています。

組織内会計士としてバランスを取り続けることの難しさ

組織内会計士としての一般的な強み

一般的には組織内会計士として働き続けると自社内、あるいは業界特有の知識と経験が蓄積され、それが適用される分野においては非常に高い専門性を発揮できるようになります。会計という一つの専門性に惹かれて会計士を目指した方がさらにとがった方向に進むうえで同じ業界・企業に長く勤め続けることは良いことだと考えています。

 

また、知識や経験と同様、またはそれ以上に同じ業界・企業で働くことはネットワークを構築する上で非常に重要です。特に組織内会計士が同じ企業の中でいないという人にとっては、同じ業界で働く会計士はとても心強い味方です。たとえ、その企業を去り独立することになっても、知識や専門性以上に、そのネットワークは助けになります。

 

このA市場でシェアを5%伸ばすためには売上がXXに到達する必要がある

競合他社とのコスト競争に勝つためにはYYの施策が必要だ

市場の中で差別化でき、かつ高い利益率を確保できる分野はZZだ

 

数字という客観的な情報でもって常に第三者の視点で分析することに長けた会計士が、さらに特有の経験を積めば、より尖った付加価値の高い分析ができるようになります。

合理的な選択と視野狭窄

ひるがえって 、組織内会計士として同じ企業に勤め続けると、新しいことに触れる機会がどんどん少なくなっていきます。同じ会計処理の繰り返しに慣れすぎるとその会計処理に疑問も持たなくなるようになり、会計士試験の際に身に着けた幅広い知識は所属する企業が重視する会計基準を中心にしてどんどん狭くなっていきます。たとえ新しい会計基準が公表されたとしても、自分の業界や役職に関係がないとわかれば確認しなくなることもあるでしょう。ある意味ではこれは正しい活動です。求められているところで自分の価値を最大限に発揮するためには、業務関連のないところはとことん削りにいく姿勢が必要です。これは費用対効果を考えた合理的な選択といえます。

 

また、自分の担当している事業においてはより愛着が出てきます。様々なクライアントを転々として担当するプロフェッショナルファームではなく、一つの業界・企業を絞った会計士のほとんどは、そのビジネスに強い興味・関心があります。良い意味では、同じ企業の一員として、一体となって事業の成長を主体的に支えることになりますし、会計士を採用する企業側も、それを積極的な関与でコミットしてくれることを面接の中で見極めています。

客観的かつ主体的であり続けること

つまり、組織内会計士としての強みは、尖った客観的な分析と主体的な関与です。

 

かなり矛盾したことを書いていますが、この間で自分でバランスを取り続けられる会計士こそが本当に組織内で活躍していける会計士なのだと考えています。

 

営業やマーケティングの方々が熱っぽくプレゼンテーションをするのに対して、一般的に経理や経企の客観的な分析は非常に冷めたものに見えがちです。会計士としてのプライドを捨てきれない人は行き過ぎた客観的な姿勢を貫いてしまうかもしれません。結局は組織の中の人を動かしてナンボという現実に直面することになるでしょう。

 

逆に会計士という肩書を忘れて100%主体的にビジネスに関与するのはどうでしょうか。部署やポジションにもよりますが、採用する側の期待値としては必ず含まれるのは会計及び監査の専門家としての役割です。主体性をもって積極的に事業にかかわっていくとはいえ、コンプライアンス違反を見つけたときにNoと言わないといけないですし、間違った会計処理は厳格に対応しなければなりまえせん。こういうことを伝えるのは、第三者である監査人よりも、組織内で働く会計士のほうが難しいです。自分の直属の上司、それも異動や出向がない限りはしばらくその関係が続くであろう上司に対して、Noを言うのはかなり慎重になります。

自分でバランスを取り続けること

客観性と主体性の間で自らバランスを取り続けるのが非常に難しいと筆者は感じています。このバランスで悩む方は少なくないと思うのですが、そもそも同じ企業に複数の組織内会計士がいるケースも少なく、お手本にできる組織内会計士が身近にいることは稀です。それゆえに、自分自身の存在価値を定期的に見直すことだけが常に両者のバランスをはかる最善の方法なのだと考えています。日々反省です。

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