組織内会計士の日常

組織内会計士の日常を綴っています。

業務の標準化が抱えるジレンマと怪我の功名

たとえ経理の仕事をしていなくても、ある程度の規模がある組織にいると、組織のどこかで「業務の標準化をしよう!」ということをよく耳にします。常々、標準化を考える際に重要だと思うのは、タイミングです。

業績悪化後の業務の標準化ほどタチの悪いものはない

業績の悪いときや、統合や事業分割などの組織再編によって社内プロセスが複雑化したときこそ、まさに「業務の標準化だ!」と血気盛んに叫ぶ人がたくさん出てきますが、そんなときに行う標準化ほど難しいものはありません。

業務の標準化で利益を稼ぐ

色々理由はあるかと思いますが、主な理由として、なぜ業務の標準化を行いかとたいかといえば、それは標準化によってプロセスそのものをなくしたり、少なくしたりして、そこにかかるヒト・モノ・カネの無駄を徹底的に削って利益を稼ぎ出したいためです。もちろん本業で利益を稼ぎ出すことが中長期的には必要であれ、そこまでの時間的猶予がなく、短期的に成果を出しにいかないといけない場合、または組織が複雑化しすぎてて明らかな無駄が本業自体を圧迫している場合においては、標準化は結果を出すための一つの手段として想定されます。 

追加投資できるカネはあるか

標準化のゴールを短期的な利益捻出とすれば、標準化への初期投資に対して躊躇が生まれます。それが業績が悪くなった後であれば、なおさらでしょう。

例えばここから毎年1年間、3億ずつ経費を減らせるプロジェクトがあったとしても、初期投資20億円かかるのであれば、短期的には二の足を踏むことになります。

最大の難関がヒト

また、業績が悪化したときに初めに辞めていくのは優秀な方です。換言すれば、業績が悪化した後の組織では、業務を標準化を任せられる人材がいません。

 

標準化において最も重要なのはヒトです。なぜならば、業務の標準化を行うためには、様々な利害関係を上手く調整しながら、組織内の反発や抵抗勢力を抑え、たった一つの組織のゴールに向かって全員の士気を高めていく必要があります。特に業績の悪い状態においてはこれを行うのはかなり難しくなります。

 

業績が悪い状態というのは、組織内もかなりギクシャクした雰囲気になっており、ただでさえ反発を買いやすい状況になっています。加えて、通常、新規性の高いプロジェクトや全社的に貢献度の高い業務であれば関与する方々への見返りが期待できますが、業績の悪い段階では、それも期待できません。

 

これは業務の標準化に限ったことではありませんが、雰囲気も悪く、金銭的な報酬もない中で、利害が異なる人を巻き込み、同じ目標に向かって物事を進ませるのは非常に難しいことです。

難局にこそ、難局を任せられるヒトが出てくる

そんな中でも、規模の大きい組織であれば、100人の中で1,2人ぐらいは、この難局を任せられるコミットメントレベルの高い人材が出てきます。むしろ、難局であるがゆえに目立つのかもしれません。

業績の良いときは普通の人でも成果が出せる環境です。多くの人が成果を出す中で、次のリーダーを誰にしようか、誰を昇進させるべきかという人材評価を相対的に行うのは非常に難しいです。

そもそもではありますが、今まで評価されてこなかった人材が難局になってようやく評価されるという状況は、その組織が人材を毀損しているとも言えます。

苦しい場面を任せられるというのは、リーダーとして非常に重要な資質です。

 

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