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組織内会計士の日常

組織内会計士の日常を綴っています。

監査から学んだ仕事の考え方

監査 会計士 キャリア

先週は公認会計士試験論文式試験の合格発表でしたね。

自身の合格からもう数年経過しますが、毎年毎年、会計士を志した頃の初心を思い出します。合格発表の日がくるたびに、一人のプロフェッショナルとして、驕るとなく常に発展途上として、成長していきたいという想いは年々強くなる一方です。

 

さて、合格当時のことを振り返る過程で、監査から自分はどういう抽象的なスキルを学んだのか回想していたので、ここでまとめたいと思います。 

時間を逆算、全体を俯瞰

 初めての仕事が監査だったのですが、そこで学んだことは大きく2つです。時間を逆算して考えること、全体を俯瞰すること。今では呼吸と同じようにできることではありますが、当初はかなり苦労しました。 

達成すべき目標は何か?

1つ目の時間を逆算することについて、例えば上場企業の年度末監査において、監査チーム最終的な目標は有価証券報告書にパートナーがサインを付すことであり、クライアントの目標は有価証券報告書を無事に提出することです。すべてはこの達成すべき目標がいつまでに行われるべきかという視点に基づいて、スケジュールが調整されています。

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逆に言えば、この目標に無関係の仕事は行うべきではないのは言うまでもありませんが、この時間的なリソースがいくら残されているのかというのも(例えば仕訳をいれて修正すべきか否かという)優先順位や取捨選択を考える点に大きく影響してきます。

 

もちろん、この発想は年に数回もレビューや監査を行う会計士にとってはすぐに身に着くものですが、相手方のクライアント、特に比較的経験が少ない方には会計士がリードして時間をコントロールする必要があります。達成すべき目標のために、いま何をどこまでやる必要があるのか、その意思決定の連続が行われるのが監査現場です。

 全体を俯瞰

 俯瞰的に数字を見ることも重要です。

 

試験合格したてのころ、監査法人に入所して、初めてのクライアントに行く前に先輩会計士に「アサイン頂きありがとうございます。往査前までに、準備しておくべきものがございましたらご教示のほどお願い致します。」というメールを送って、前期調書と一緒に会社のHPを読み込んでおくように教えてくれる先輩は良い先輩です。あまりお手本にならないのが、とにかく前期調書の読み込みを求めてくる先輩です。

 

数字も重要ですが、それ以上に「この会社はどういうビジネスを行っていて、それを行うためにどういう関係者を巻き込んでいて、それをサポートする社内の体制はどうなっているのか」という数字に表れない情報を把握しないと、不正及び誤謬を発見できないというのは監査という仕事のアイロニーだと思います。

 

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売上が落ちているのに在庫が膨らんでいる、売上が増加しているのに営業キャッシュフローが増えていない等の数字の整合性はもちろんですが、好調になるはずのビジネス環境で事業が成長していない、あるいはその逆のような状況において、会社になんらかの「異変」が起こっているのは間違いありません。そういう部分にまで感度を高めるというのは、監査という範疇を超える部分もあるかもしれませんが、監査という出来た数字を見る側ではなく、経営戦略などの数字を作る側に回ったときに役立ってきます。

 

さらに少ない事業会社における俯瞰力

 

一方で、事業会社に勤めると、意外と全体像から数字を見る人が少ないことに驚きを隠せません。おそらく、ある程度大きな企業の経理部であれば、例えば固定資産の台帳担当から始まり、さらに科目が増え有価証券も担当になり、BS全体の担当から財務諸表全体に責任を持つ役職まで数十年かかることでしょう。自分に責任がないところまで手を拡げるよりも、まずは自分の責任範囲を完遂するというのは心理として理解できます。

 

若手であっても会計士を経理部の方が欲するのは、一つには全体を俯瞰して整合性を常に確認する姿勢を入所時から叩き込まれるためでしょう。

 

時間を逆算すること、全体を俯瞰することを直接教えてくれる人は少ないかもしれませんが、仕事を抽象化したときに本質がどこにあるのかは、今もこれからも見極め続ける必要があります。

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