組織内会計士の日常

組織内会計士の日常を綴っています。

分析的実証的手続における予実分析と、監査経験で積み上げる予算作成スキル

予算を作る仕事をするようになって、監査論でいわれる分析的実証的が難しいなと改めて思うようになりました。

分析的手続とは

監査基準委員会報告書520 分析的手続で定められている分析的手続とは下記の

A1.分析的手続は、企業の財務情報と、例えば、以下の情報との比較についての検討を含む。

  • 比較可能な過年度情報
  • 予算や見込みなどの企業の業績予想、又は減価償却の見積りなどの監査人の推定
  • 業界情報(例えば、企業の売掛金回転率についての業界平均、又は同程度の規模の同業他 社との比較)

 

A2. 分析的手続は、例えば、以下の関係についての検討も含む。

  • 企業の実績が示すパターンに基づいて一定の推定が可能な財務情報の構成要素間の関係 (例えば、売上総利益率)
  • 財務情報と関連する非財務情報との間の関係(例えば、給与と従業員数) 

予算とは作られた数字

言わずもがなですが、予算とは誰かが作った数字です。予算をどういう風に位置づけるかは、会社によって異なります。

  • 達成不可能ではあるものの社長の意気込みを表した数字
  • 理論的に達成可能だと経営企画室が考えた数字
  • 経理部が実績に合うように設定した数字

などなど、とにかく予算には会計基準のようなルールはないのです。

予実差異の説明の巧拙と実績数字の妥当性

予算という意図的に作られた数字に対する実績が乖離することは多々あります。もちろん、監査人に説明する必要があるかないかに関わらず、予実差異の説明は必要です。ただ、予実差異分析の精度が高く、監査人がそれ以上に踏み込めないケースも多々あります。例えば…

  • 予算達成欲の強い会社(=予算を達成しないと怒られる人がたくさんいる会社)
  • 予算を作っている部署が社内で経営に直結する強い権限を有している会社

などは、かなり手厚い説明が用意されています。こういうケースにおいて、会社から用意された予算とその予実分析の説明から、財務諸表の元となる数字の妥当性を検討するのは非常に難しいです。用意された論理的な説明から検証をスタートするよりは、あえて説明がない差分を作ってから検証するのが良いのではと思うようになりました。具体的には…

自分で推定値を作ってみる

業界情報や過去の情報、はては非財務情報を駆使することで監査人が自らざっくりとした予算や見込の数値を作ることは可能です。個人的には、予算を作る・更新する仕事をしていると、監査法人に所属していたときに、もっと自分で数字を作る練習をしておけばよかったと嘆くことも多い今日この頃です。自分で作った推定値はきっと予算とも実績とも異なるはずですが、そこから見えてくるものがきっと事業会社で予算を作成している人達と同じ景色です。

監査法人からいきなり事業会社の経営企画室に行くのは難しいというイメージがある方も多いと思いますが、監査の経験を通じて経営企画室が行うような予算を作成することもあります。こういう点も含めて、やはり多様なキャリアの可能性がある会計士が監査からキャリアを始めるのは一理あると改めて思いました。

監査から離れて数年離れていますが、監査基準委員会報告書は改めてじっくり読んで見ると面白いですね。

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