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組織内会計士の日常

組織内会計士の日常を綴っています。

鴻海に買収されたシャープとセブン&アイ・ホールディングスの人事から見る社外取締役の役割

組織論

鴻海に買収されたシャープ、セブンアンドアイホールディングスの人事を見ていて、改めて社外取締役の重要性を感じました。

そもそも社外取締役とは

会社法で下記のように定められています。

社外取締役とは、株式会社取締役であって、以下の全てに該当するものをいう(会社法2条15号)。

  1. 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の会社法363条第1項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「業務執行取締役等」という。)でなく、かつ、その就任の前10年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
  2. その就任の前10年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は監査役であったことがある者(業務執行取締役等であったことがあるものを除く。)にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前10年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
  3. 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
  4. 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
  5. 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。 

 また、「会社法の一部を改正する法律」(以下「改正法」と言います。)が平成26年6月20日に成立し,同月27日に公布されました。この改正で特に注意すべきは、説明義務が課される内容が「社外取締役を置かない理由」ではなく「社外取締役を置くことが相当でない理由」であるという点です。

単に「社外取締役を置かなくてもガバナンス上不都合はない。」とか「適任者が見つからない。」といった消極的な事情を挙げるだけでは足らず、会社の置かれた現時点での個別事情に照らして社外取締役を設置して業務執行の決定に参画させることが、企業価値をむしろ毀損するおそれがある等の積極的な事情まで説明が求められていると考えられます。とはいえ、このような社外取締役の存在が事業価値を毀損させるを合理的に説明するのは難しいため、社外取締役設置が事実上義務付けされたと評されています。

取締役に求められる善管注意義務

2月の初め、産業革新機構による出資で決まりかけていたシャープの再建計画が土壇場でひっくり返されました。約7,000億円超を出すという鴻海精密工業の案を蹴って、約3,000億円を出資する革新機構案を選ぶとして、社内の取締役としては事業の責任者の視点からこの部分の説明を行えますが、社外取締役としては事業外の第三者としての説明が求められます。第三者としては2分の1以下の出資に対してはYESと言い難いところですね。

なお、具体的にどのようなモニタリングが求められるのか?という点については、日本弁護士連合会が社外取締役ガイドラインを出しています。

日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:社外取締役ガイドライン

シャープの場合は下記の項目が該当すると考えられます。

4 取締役会でのモニタリングの項目

(1) 取締役会の決議事項について

企業価値向上のための視点からのモニタリング

ア ブランド価値,レピュテーション等の社会的評価を含めた企業価値を最 大化するものか。

ステークホルダー間の利益の均衡がどの程度とれているか。

ウ 株主共同の利益(一般株主の利益)を損なわないか。

もう一つ、直近で社外取締役の動きがキーになった事例としてセブン&アイ・ホールディングスが挙げられます。

今月7日の取締役会ではセブン―イレブン・ジャパンの井阪隆一社長兼最高執行責任者(COO、58)を交代させる人事案について賛成が7、反対が6、棄権が2でした。反対の姿勢を示していた社外取締役に加えて、社内の取締役からも反対が出たため、賛成が過半数の8には足らず否決されたようです。

もともと米・ヘッジファンドのサード・ポイントもこの人事に否定的だったようですが、取締役会まで人事案が内部で固まらないのは異例の状態ですね。同日、鈴木敏文会長兼最高経営責任者は退任を発表されています。

意外と機能しだしたコーポレートガバナンス・コード

意外というのは失礼かもしれませんが、海外の投資家はたとえコーポレートガバナンス・コードが適用されたとしても、やはり日本的な経営、つまりは社会的取締役がそれほど機能せず、企業統治が強化されないのではないかという予想していました。良い意味で海外の投資家は予想を覆されたわけです。

今後も取締役会の決議案件や人事において、社外取締役が鍵になるケースが出てきそうです。 

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