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組織内会計士の日常

組織内会計士の日常を綴っています。

監査は経営企画で役に立つのか?という質問に対する答え

 

監査法人で働く(ものの、今後は事業会社等も含めた転職を考えている)会計士ならでは質問ですね。

 

監査実務や監査論は経営企画室で役に立ちますか?

 

答えはYesです。

財務諸表監査とは 

言わずもがな、ですが。

 

財務諸表監査の目的は、経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある。(監査基準 第一前段) 

あとでもう一度書きますが、重要なのは適正に表示しているかどうかについて判断した結果を意見表明することですね。

 

なぜ監査の経験が経営企画で役に立たないと思われがちなのか

一方で経営企画とは何をする仕事なのかといえば…

 

経営企画とは、“会社経営のかじ取り役”です。会社が小さいときは、社長が自ら経営企画に携わることが多いのですが、会社の規模が大きくなると組織としての経営企画機能が必要となってきます。
そこで求められるのが、経営企画の存在。市場のニーズ動向分析や競合他社調査などをもとに、中長期的な経営企画の立案を行なったり、経営者のパートナーとして経営業務をサポートしたりといった業務を手がけます。

employment.en-japan.com

 

端的には、経営者のサポーターです。

 

財務諸表監査の定義と経営企画の定義を比べると、あまり関連性はなさそうに見えます。

 

監査のスキルセットが役に立つのは予算作成等

ところが、経営企画の仕事をしていると、意外と監査やってて良かったーと思うことが多いです。

 

例えば、予算作成にあたっては、様々な部署、強調して書けば、あまり数字が得意じゃない人達がいる部署から素案をもらって、レビューします。レビューというと、格好良さ気ですが、その予算案、様々な思惑があるのでチェックが大変です。

 

なるべく早く新製品を出したい部署は、その新製品が如何に売上に寄与するかを訴求しますし、とにかく人員を補充したい部署は、如何に人員の充実がこれまでの成果に密接に影響してきたのかを強調します。設備投資したい部署は、如何にその投資が事業の発展に意義深いかを主張するでしょうし、研究開発したい部署は、投資を得られなかったときに起こるであろうポートフォリオの毀損を訴えるでしょう。

 

言わんとしたいのは、お金欲しいですの一言です。

とすると、経営者が意思決定する前に、本当に投資すべきなのかどうか費用対効果を見極めて経営企画がフィルタリングする必要があるわけです。

 

このフィルタリングにあたって、監査で培ってきた技術や経験が大変役に立ちます。彼らが主張する計画が適正に数字に落とし込まれているかかどうかについて判断する必要があります。

適正に表示しているかどうかについて判断した結果を意見表明すること 

ただ、個人的には、こういう計画に対する意思決定は会計監査よりも難しいと感じています。何故ならば…

 

数字に強くない人達の予算案

数字に強くない人達の予算案はなかなか判断に迷うことが多いです。

  1. そもそも数字に強くないが故にやりたいことが適切に数字に落とし込めていない
  2. 実は数字に強いが、恣意的にやりたいことを通すために盛っている 

上記のどちらかであるケースが多いのですが、前者の方が多いイメージがあります。 ただ、決してそれを咎めることができないのが、彼らの主要な仕事のは、素案を作成することではなく、それらを実行することだからです。それゆえに予算をレビューする責任を持つ経営企画室は、彼らの数字が妥当であるか否かを適切に判断してサポートする必要があります。 

数字に強くない人たちが数字を作ることの難しさ

相手が経理部でない点に監査以上の難易度があります。監査対応では、数字に強い、かつ、そのルールをある程度認識している経理部の方々がドラフトした数字の妥当性を検証します。監査はある程度の点数の答案(60-80点)を満点に近づけていくのようなものですね。たまに満点回答して頂ける方もいらっしゃるので、監査対応していて実務的には楽であること、この上ないです。

 

一方で、会計や経理をあまり知らない方の作る数字はなかなか見るのも大変です。先ほどの例と対比すれば、答案の点数は20-30点、難易度が高い場合は0点どころか名前すら書けていないという場合もあります。*1

ただ、経営企画の良い点は答案を満点までもっていかなくてもいいところです。むしろ満点まで持っていくべきですらないとも考えています。なぜならば、予測・計画という未来の数字には必ず不確定要素があり、どれだけ正確に検証をしても必ず現実化するものではないからです。

重要なのは計画ではなく、実行なので数字への落とし込みはそこそこに実行面でのサポートにリソースを振ったほうが良いと個人的には考えています。

結論まずは監査からというのは悪くない

というわけで、いきなり難しい経営企画の予算作成やレビューをやるよりも、まずは監査から入るというのも良いかと思います。

経営企画の仕事をしているとカウンターパートが社内の人ばかりなので、社外の人と緊張感を持って接する監査はやっぱり面白いと思う今日この頃でした。

 

 

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*1:「名前が書けない」というのは、自分がどういう立場で何に対して責任を持ち、いまこの提案でもって何に成果を出すことを宣誓するのかを理解していない、という意味で使っています。